【AWS re:Invent 2025】新機能「Kiro Powers」を使用してAWSインフラ構築をしてみよう

目次
1. はじめに
こんにちは!ベンジャミンの松延(まつのぶ)です!
AWS re:Invent 2025に現地参加しKeynoteに参加しました。AWS re:Invent期間中に様々な新サービスや新機能が発表されましたので、最新情報をシェアできればと考えております。
2. Kiro Powersとは
AWSが提供しているKiro IDEにおいて、AWS re:Invent 2025で「Kiro Powers」という新機能が発表されました。
「Kiro Powers」は、MCP(Model Context Protocol)ツール、SteeringファイルやHooksなどのフレームワークに関する知識を、「powers」としてパッケージングしたものになり、AIエージェントが必要なときに、必要な専門知識とツールだけを動的に読み込み、AIエージェントのパフォーマンス向上を図る仕組みとなります。
1. 主な機能
主な機能は下記になります。
- MCPツールとフレームワークに関する知識をpowersとしてパッケージング
- 様々な開発やデプロイなどのユースケースに容易に対応
- UI開発
- バックエンド開発
- フルスタック開発
- API開発
- エージェント開発
- 様々な開発やデプロイなどのユースケースに容易に対応
- 必要になり得るツールをすべて事前にKiroに読み込ませるのではなく、動的に読み込むことが可能
- 必要なツールがないことによるMCP実行エラー等を回避できる
- Kiro Powersにインストールされているpowersは、必要な時に有効・無効を切り替えることが可能
- 必要なpowersのみを有効にすることで、コンテキスト使用量を節約することが可能
- 様々なpowersを使用することが可能
Kiro Powersは、現時点(2025年12月時点)ではKiro IDEで動作サポートされており、将来的にはKiro CLIやClaude Code、Cline、Cursor等に対応するとのことです。
2. Kiro Powersの仕組みについて
AIエージェントを用いたアプリ開発においては、関連する知識(実務内容など)や複数MCPサーバ(ツール)を生成AIに連携させた上で、アプリ開発をしていくケースが多いかと思います。
多くの知識やツール等を生成AIに連携させた状態の場合、数万トークンのコストが発生しコンテキスト過多の状況に陥ることがあります。
コンテキスト過多になった結果、AIエージェントのレスポンスが遅くなる・回答の質が下がる(思考がブレやすい)・関係ない提案(ハルシネーションも含む)、といったAIエージェントのパフォーマンス低下に繋がります。
Kiro Powersは、関連する知識や多数のツールを最初から読み込む方式ではなく、「タスク内容に応じて関連するものだけを有効化して動的に読み込む」といった動作をします。
必要な知識やツールのみを有効化していくことによって、コンテキスト使用量を最小限に抑えつつ、回答出力の品質を上げ、AIエージェントの思考がブレにくくなるといったメリットがあります。
そのため、Kiro Powersを活用することで、AIエージェントのパフォーマンス低下を回避することが可能になっています。

Kiro Powersは下記のような構成要素となっています。
- POWER.md
- AIへの指示書(いつ・どうツールを使うか)やベストプラクティス・注意点を記載
- MCPサーバー設定
- 実際に使えるツール定義や接続情報なとを記載
- Steering/Hooks(任意)
- IDEイベント時の自動処理などを記載
3. Kiro Powersの利用方法
Kiro Powers自体は、Kiro IDEを起動し設定から最新状態にアップデートすることで利用可能になります。

4. Kiro Powersの利用料金
Kiro Powersは追加料金なしで、すべてのKiroユーザがKiro Powersを利用することが可能になっています。
3. Kiro PowersでサポートされているPowers
Kiro Powersでは、AWSやサードパーティが様々なPowersを提供しています。
将来的には様々なPowersが追加・拡張されていくと思われます。
| 提供元 | Powers | 説明 |
|---|---|---|
| AWS | Build an agent with Strands | Strands Agent SDKを使用して、AIエージェントを構築 |
| AWS | Build an agent with Amazon Bedrock AgentCore | Amazon Bedrock AgentCoreを構築・デプロイ |
| AWS | Build AWS infrastructure with CDK and CloudFormation | AWS Well-Architectedフレームワークのベストプラクティスに従って、CDK/CloudFormationを使用したAWSインフラを構築 |
| AWS | Build applications with Aurora PostgreSQL | Aurora PostgreSQLのベストプラクティスを活用して、Aurora PostgreSQLを基盤とするアプリを構築 |
| Kiro Team | Build a Power | テンプレートやベストプラクティス、検証を使用して新しいKiro Powersを構築・テストするためのガイドを提供 |
| Postman | API Testing with Postman | Postmanを使用してAPIに関するテストを自動化 |
| Figma | Design to Code with Figma | FigmaデザインをUIコンポーネントにマッピング・ソースコードの自動生成 |
| Netlify | Deploy web apps with Netlify | 自動ビルドを使用して、React/Next.js/VueなどのWebアプリをNetlifyのグローバルCDNにデプロイ |
| Supabase | Build a backend with Supabase | SupabaseのPostgres データベース、認証、ストレージ、リアルタイムサブスクリプションを使用してアプリを構築 |
| Supabase | Build a backend (local) with Supabase | Supabaseを使用したローカル開発 |
| HashiCorp | Deploy infrastructure with Terraform | Terraformを使用してIaCをデプロイ |
| Neon | Build a database with Neon | Neonを用いサーバレスDBを構築 |
| Datadog | Datadog Observability | Datadogを使用したログ・メトリクス・トレースなどのクエリ分析 |
| Dynatrace | Dynatrace Observability | Dynatraceを使用したログ・メトリクス・トレースなどのクエリ分析 |
| Stripe | Stripe Payments | Stripeを使用した支払い統合の構築、サブスクリプション管理、請求管理など |
| Allen Helton | SaaS Builder | 本番環境に対応したマルチテナントSaaSアプリの構築 |
| Christian Bonzelet | Build infrastructure on AWS | AWS Well-Architectedフレームワークのベストプラクティスに従って、PythonでCDKを使用したAWSインフラを構築 |
| Rolf Koski | Deploy a distributed SQL database on AWS | Aurora DSQLを使用したPostgreSQL互換のサーバレス分散SQLデータベースにおいて、スキーマの管理・クエリ実行・DSQL固有の制約による移行などを処理 |
4. Kiro PowersでAWSインフラを構築してみる
本記事では、AWSが提供しているPower「Build AWS infrastructure with CDK and CloudFormation」を使用して、CDKでAWSインフラを構築してみようと思います。
今回はシンプルなAWSインフラを構築してみます。S3静的Webホスティング + CloudFront構成とします。
1. Kiro Powersを設定する
1. Kiro IDEを起動

2. Kiro Powersのアイコンを選択

Kiro Powersのパネル内には、「INSTALLED」(インストール済みPowers)セクション、「RECOMMENDED」(推奨Powers)セクションがあります。

3. 「RECOMMENDED」セクションの「Build AWS infrastructure with CDK and CloudFormation」を選択

4. Powers詳細画面が表示されるので「+ Install」を選択

下記のように「INSTALLED」セクションに「Build AWS infrastructure with CDK and CloudFormation」が追加されます。

以上で、Kiro Powersの設定は完了です!かなりシンプルですね!
2. Kiro Powersを使用してCDKを生成
ではKiro Powersを使用してCDKコードを生成してみましょう!
1. Kiro IDE上で新規チャット画面を開く

2. チャットにて、下記プロンプトを入力し実行
Kiro Powersを使用して、AWS CDKでS3静的Webホスティング + CloudFrontを構築してください。

すると、Kiro Powersが実行されました!

3. 提案内容を確認して承認
Kiro Powersの提案内容によると、CDKのベストプラクティスとサンプルコードを確認するとのことなので、承認します。


CDKのベストプラクティスとサンプルコードの確認が完了したので、CDKソースコードを生成してもらいます。


CDKソースコードが生成されましたのでビルドしてもらいましたが失敗しました。

Kiro PowersがCDKドキュメントを確認するとのことなので承認します。

Kiro PowersがCDKドキュメントを確認したことで、ビルド失敗の原因を特定、該当箇所を修正しました。
その後、再ビルドが成功しました。

次にCloudFormationテンプレートを生成して検証するとのことなので承認します。

すると、無事にCloudFormationテンプレートが生成されています。

引き続き、CloudFormationテンプレートの検証を依頼します。

途中検証エラーが発生したとのことですが、最終的に正常読み込みできたようです。


Kiro Powersに作業を依頼して、CDKソースコード実装・検証までが一旦完了しました!
ディレクトリ構成は下記のようになりました。

3. Kiro Powersを使用してCDKでAWSインフラをデプロイ
CDKデプロイもKiro Powersにお任せしてしまいましょう!
1. チャットにて、下記プロンプトを入力し実行
Kiro Powersを使用して、本構成をCDKデプロイしてください。

2. 提案内容を確認して承認
デプロイする前にAWS認証情報の設定を確認するとのことなので承認します。

AWS認証情報は正常設定されています。

CDKブートストラップが必要かどうか確認するとのことなので承認します。

CDKブートストラップはすでに完了しているとのことでした。

たしかにすでに「CDKToolkit」があるのでCDKブートストラップは不要ですね。

CDKデプロイ前にCloudFormationテンプレートを再生成して状態確認するみたいです。
(そこまでする必要はないかな、と思っていますが承認しておきます)

問題なかったようでCDKデプロイを提案されましたので承認します!

CDKデプロイが実行されています!

無事にCDKデプロイが完了しました!


動作確認してもらいます。

HTTP200ステータスコードが返却されているので、動作も問題なさそうです。

ちなみに、ホスティングされているWeb画面はこちらになりました笑

S3静的Webホスティング + CloudFront構成のデプロイが完了したので、Kiro Powersの検証を終えたいと思います。

最後に本検証で構築したリソースは、利用料金が発生する可能性があるため削除しておきましょう。
5. まとめ
今回は、Kiro Powers「Build AWS infrastructure with CDK and CloudFormation」を使用してCDKでAWSインフラを構築してみました。
AWSが提供している「Build an agent with Strands」や「Build an agent with Amazon Bedrock AgentCore」は、Kiro Powersを用いてAIエージェントを構築できるとのことなので、検証して別記事で紹介できればと考えています。
他にも提供されているPowersがありますので、興味のある方はぜひ利用してみてください!
