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独自微生物群「コムハム」を搭載したスマートコンポスト®のIoTダッシュボードを刷新
AWSのフルマネージドサービスを活用し、顧客向けWebアプリと社内分析基盤を2軸で構築

株式会社komham 代表取締役 西山 すの様

株式会社komham様は、独自微生物群「コムハム」を活用して生ごみを最短1日から3日で最大97〜98%減量分解する独立型生ごみ処理機「スマートコンポスト®」を開発・販売しています。同社は2021年からの実証実験を経て2024年末に量産品の販売を開始しましたが、処理状態を確認するためのダッシュボードは顧客提供水準に達せず、データを手作業でレポート化して渡している状態でした。同社は2025年2月にAmazon Web Services(AWS)のスタートアップサポート経由でベンジャミンと出会い、AWSのフルマネージドサービスを活用したサーバレスアーキテクチャで顧客向けWebアプリを新規開発。あわせてAmazon Quick(旧Amazon Quick Sight)による社内分析基盤を構築。複数自治体・大手企業への展開が加速しています。

ビジネスの課題

  • 初期版のダッシュボードがUI・UXとも顧客提供水準に達せず、営業が手作業でレポート化して渡していた
  • 仕様がブラックボックス化し、顧客の人事異動のたびに使い方説明が発生していた
  • 微生物の分解傾向を社内メンバーの感覚に頼って判断しており、設置件数の拡大に耐える定量基盤がなかった

効果

  • 顧客が直感的にダッシュボードを使えるようになり、操作に関する問い合わせがゼロに
  • 16の離島を抱える竹富町が、石垣島の役場から全離島の稼働状況を遠隔監視可能に
  • 社内向けAmazon Quickで微生物の分解傾向を定量データで把握できる基盤を整備

微生物の処理速度を、データで証明したい

株式会社komham様は、「コムハム」と呼ぶ微生物群を活用して生ごみや汚泥、家畜糞尿などの有機性廃棄物を高速で分解する技術を、研究開発から販売まで一貫して手掛けるディープテックスタートアップです。
創業の原点は、同社代表取締役の西山すの氏の父親が北海道で長年販売していた微生物にあります。口コミで着実に売り上げが立っていたその技術に知財と資金を投入すれば伸びると確信し、2020年に創業しました。

しかし、微生物の性能をスペック表だけで示しても顧客の納得感は得にくい。コムハムは生ごみを最短1日から3日で堆肥化する処理速度が最大の強みですが、数字だけでは「本当に?」と受け取られがちです。
そう感じた西山氏は、微生物の働きをデータで可視化する「PR装置」として、ソーラー発電で駆動する独立型のIoT生ごみ処理機「スマートコンポスト®」の構想を描きます。

2021年から渋谷区での実証実験が始まりましたが、当初は木箱にコムハムを詰めたアナログな仕組み。
誰がどう使い、どんな結果に落ち着いたのかが分からず、毎朝すべての拠点をパトロールする日々でした。センサーを付けてデータを取得できるようにする。そう考えた西山氏は、構想を具体化していきます。

2022年から2023年にかけて、量産パートナーとしてKOBASHI HOLDINGS株式会社と協業を開始。ソーラーパネル駆動・排水処理不要の独立型機にドアの開閉センサーと堆肥槽の重量計測機構を組み込み、2024年末に量産品の販売をスタートしました。
ゴミ箱としての機能は問題なかったのですが、そこで取得するデータを管理するためのダッシュボードは仕様がブラックボックス化し、顧客に提示できる水準ではありませんでした。「結局、全部のデータを整理してレポートにして、うちの営業がお客さまに渡していました。
スマートなのかアナログなのか分からない状態でした」と西山氏は当時の苦労を打ち明けます。

「クラウド・IT知識のなさに寄り添ってくれた」——ベンジャミンを選んだ理由

転機は2025年2月、AWSのスタートアップサポートを通じた面談で訪れました。AWSから紹介された開発会社3社のなかで、komham様が選んだのがベンジャミンでした。
決め手はスタンス面の誠実さと、開発をまかせられる体制です。「営業の方だけでなく技術者側も全員、同じスタンスです」と西山氏は言います。エンジニアが技術的な面について専門用語で話し、顧客側の理解が追いつかないような進め方をする会社も存在します。「ベンジャミンさんは、わたしたちの知識のなさに寄り添ってくださいました」

毎回の定例会議に関係者全員が顔を出すスタイルも、komham様の意思決定スピードを後押ししました。
問題が発生してもその場で一次解決策まで議論し、持ち帰って実行する。プロジェクトマネージャーが単独で対応する一般的な体制と比べ、課題から解決までのタイムラグが格段に短かったといいます。

スマートコンポスト®の課題に対してベンジャミンが行った提案は、システムの構造を顧客向けと社内向けの2軸に分けるというものでした。
当初komham様は分析基盤もエンドユーザーにも開放する案を希望していましたが、ベンジャミンはコストとUI柔軟性の観点から、顧客向けにはWebアプリを新規開発し、社内分析にAmazon Quickを充てる構成を提案。

顧客向けにはAWSのフルマネージドサービスを活用したサーバレスアーキテクチャで基盤を組み上げ、運用負荷を抑えながらスケール可能な構成としました。並行して、KOBASHI HOLDINGS主導で開発された旧システムのブラックボックス解析にもベンジャミンが踏み込み、仕様を解きほぐす作業も行いました。開発は2025年5月中旬にフェーズ1、6月末にフェーズ2をリリースする計画通りに進行しました。

「質問が来たことがありません」——直感で使えるダッシュボードへ

刷新後のダッシュボードは、生ごみ投入量・分解量・投入回数・1回あたりの投入量・温室効果ガス排出削減量・次回メンテナンス日情報をグラフで表示します。
ドアの開閉前後で投入口に設置したセンサーが重量を比較し、堆肥槽の重量を30分ごとに計測することで、コムハムの分解率を継続的に算出する仕組みです。「投入量と分解量を実データで見せられれば、コムハムの処理速度が嘘でないことを示せます」と西山氏は強調します。

顧客の反応は明快でした。「パスワードを付与すれば、ほぼ全てのお客さまが理解されます。『見ても分からない』という質問が来たことがありません」と西山氏。

沖縄県の八重山諸島にある、16の島々からなる竹富町では、石垣島の役場から全離島の稼働状況を遠隔監視できるようになり、現地巡回の負荷が大きく下がりました。ほかにも、三井不動産のオフィスビル屋上設置や、サントリー、学校法人立命館、自治体の渋谷区・つくば市・諏訪市など、導入先は30〜40社に拡大。ベンジャミン版リリース後、顧客数は約2倍に伸びているといいます。

その背景には2022〜2023年に施行されたプライム上場企業の環境関連定量データ開示義務があります。「以前はCSRで良かったものが、決算資料と一緒に定量で示さなければなりません。環境への取り組みは元々分かりにくいものなので、活動データを開示できるスマートコンポスト®が選ばれています」と西山氏は市場環境を説明します。

AIエージェントと東南アジア展開、フェーズに合わせて伴走を継続

社内向けのAmazon Quick基盤は、これまで担当者の感覚に頼っていた微生物の挙動を定量データで捉え直すための土台となっています。設置場所、外気温、堆肥槽の温度帯といった顧客には開示しない指標まで蓄積し、設置件数と社員数が増えるほど客観的な判断基準として機能する設計です。
「腸内細菌に近くて、お腹が痛いとストレスと言われがちですが、実は分かっていないから言われるんですよね。データの蓄積でその傾向が見えてきます」と西山氏は分析基盤の意義を語ります。

次の一手として、ベンジャミンとはAIエージェント構築に向けた検討も始まっています。対顧客の営業はウェットなコミュニケーションを残しつつ、社内の営業判断は均一化したい。
蓄積したデータを学習させることで、判断精度を底上げする狙いです。さらに同社は、堆肥化処理施設が全国約1,000カ所あるプラントスケールへの拡大、そして東南アジアでの事業化にも踏み出しています。

「東南アジアはごみ処理インフラがなく、海に廃棄している状況です。日本のように既存プレイヤーが決まっている市場と違い、実証実験の結果が良ければすぐ展開できるスピード感が面白いです」と西山氏は海外展開の手応えを語ります。

ベンジャミンとの関係について、西山氏は次のように評価します。「社長の川尻さんも定例会議に参加されていて、社員の皆さんとのコミュニケーションを見ても、『人と人で仕事をしている』と感じます。
そんな姿を見ていると、こちらもフラットに何でも相談していいんだと巻き込んでもらえる。考えてまとめてから相談するのではなく、とりあえず相談してできるかどうかを一緒に考えてもらえるのがいいところだと思います」。

今後もフェーズに合わせて話し合いながら、作れるものから協力を仰いでいく考えです。微生物で生活環境を整備するというミッションのもと、komham様の歩みはこれからも続きます。

ベンジャミンは、独自技術で世界に挑むスタートアップの伴走者として、引き続き支援してまいります。

お客様概要 / 株式会社komham様

会社HP
https://komham.jp/

所在地
北海道札幌市厚別区下野幌テクノパーク1丁目1-10
札幌市エレクトロニクスセンター 211号室

事業内容
微生物による有機性廃棄物の分解処理技術の研究及び、研究技術を用いたバイオマスリサイクルシステムの販売

株式会社komham様は、「微生物で生活環境を整備する」をミッションに掲げ、独自開発した微生物群「コムハム」を中核に有機性廃棄物の高速分解技術を研究・事業化しています。「コムハム」は複数の好熱性バシラス科細菌を中心とした微生物群で、生ごみを最短1日・最大98%まで分解する処理速度が最大の特徴です。遺伝子組換えやゲノム編集は行わず、関連特許を2件取得しています。 事業の柱は、ソーラー発電で自動駆動する独立型生ごみ処理機「スマートコンポスト®」と、自治体や廃棄物処理業者が運営する大型堆肥化処理施設への微生物供給の二軸です。導入先は渋谷区・竹富町・川崎市などの自治体から、三井不動産・サントリー・学校法人立命館などの法人・教育機関まで30〜40社に広がっています。