KindleからClaudeのSkillを生成した話
皆さんはKindleでハイライトを引いたまま、眠らせてませんか?
どうも、ベンジャミンの藤井です。
僕はもう何年もKindleで本を読んでいます。読みたいなと思ったときにタブレットやKindle端末をさっと取り出して読める体験が好きです。
「あ、ここ良いな」と思った瞬間にハイライトが引けてあとから読み返せるのもいいですよね。
(Kindleを使ったことがない方向けに補足すると、物理本にカラーペンで線を引くイメージで文章に色を付けられる機能です)
ただ、そのハイライト、ちゃんと活用できてますか?
僕はできてませんでした。見返すのはちょっと手間だし、かといって読みながら紙やPCにメモするのも読書のリズムが損なわれるし。
そしていつの間にかせっかくのハイライトがただの読書メモとして埋もれていく。。。
そんな「ただの読書メモ」になっていたものを「ClaudeのSkill」に変換するという方法を試してみたので、共有したいと思います。
目次
0.はじめに
0.1.準備するもの
今回この方法で利用するのは
- Kindle
- Obsidian
- Claude
の3つです。
それぞれのインストール/セットアップ方法はネット上に記事がたくさんあるのでそちらに譲りますね。
0.2.今回作りたいもの
エンジニアの仕事は「考えること」の連続です。設計、技術選定、チームとの合意形成、キャリアの選択。毎日何かしらの判断を迫られます。
でも、「考え方」そのものを教わる機会って、ほとんどなかったように思います。
そこでその「考え方」がわかる本を読んで「なるほど!」と思っても、いざ自分が悩んでいる時に「あ、あの考え方が使える」とパッと出てこないですよね。
「そういえばあの時・・・」と思っても思い出すのにメモやハイライトを読み直すのは時間がかかるし面倒です。
そんなときもし、あなたの状況に応じて「今はこの考え方を試してみて」と提案してくれるアドバイザーがいたら?
今回は、そんな存在をClaudeのSkillとして作ります。
0.3.そもそもClaudeのSkillって?
特定の知識や手順、スクリプトなどをSkillとしてパッケージ化しておき、必要に応じてClaudeが読み込んでその能力を使う仕組みです。
「あなたは〇〇の専門家です」「〇〇の思考法はこれです。この思考法を使って・・・」のようなプロンプトの接頭に入力していたような作業がなくなるとともに、Claudeに特定の手法を動的に参照させることができます。
今回の場合は本の思考法をSkillに保存しておいて好きなときに利用しようということですね。
詳しくはこちらをご参照ください。
1.Kindleで線を引く
今回は「一流の思考法: 頭のいい人の考え方45習慣 一流の流儀シリーズ(カルロ・クマ (著) JS出版)」という本を使用します。
※上記はアフィリエイトリンクではありません。
この本をチョイスした理由は思考法ごとに具体的な行動ステップが書かれているので今回の作りたいものを実現しやすいと考えたからです。
本を読みながらハイライトを引いていくわけですが、ポイントとしては
- 知識や定義とその説明(一般知識はClaudeが学習しているので除く)
- それが有効な理由(場合によっては具体例を含める)
- いつどんな状況で使うのか
- その知識を利用するためのプロセス(行動ステップ、チェックリスト等)や判断基準、閾値
など、何をClaudeが知っていればSkillとして活かせるか考えて引いていくことかと考えています。
(当たり前ですが)
今回の本はたまたま具体的なステップなどがまとまっていますが本によってはこの後ご紹介する「ハイライトをMarkdownに変換する」手順の後に加工、追記する必要があるかもしれません。
以下の画像は先述の書籍で僕が線を引いた部分から抜粋した「2.ゴールからシナリオを描く」という章からの一例です。
※著作権に配慮し、Kindleのシェア機能で出力してみました。


2.ObsidianでKindleのハイライトをMarkdownに変換する
ObsidianのKindle Highlightsというプラグインを使えば、Kindleで引いたハイライトを自動でMarkdown化できるのはご存知でしたか?
最初にこのプラグインを知ったときは衝撃でした。めっちゃ便利です。
今回ObsidianにはKindleとClaudeの橋渡し役を担ってもらいます。
2.1.Kindle Highlightsをインストール
プラグイン導入時の注意事項
Kindle Highlightsはサードパーティ製のコミュニティプラグインです。
導入前に以下の点をご理解ください。
- メンテナンス状況
- 最終更新は2023年4月(本記事執筆時点で約3年前)
- Obsidianやブラウザのアップデートにより動作しなくなる可能性もあります
- セキュリティ上のリスク
- Amazonアカウントでログインする方法を選択した場合、あなたのAmazonセッションがObsidian内の他のすべてのプラグインからアクセス可能になります(セッションが期限切れになるまで)。
- If you choose to sync your highlights via Amazon’s online Kindle Reader, it is important to note that by logging in to your Amazon account via Obsidian your Amazon session becomes available to any other plugin across your vaults until your session expires.
You can mitigate this risk by logging out after every sync (from settings) or using the offline method of syncing by uploading yourMy Clippings.txtfile instead.
(GitHubのREADMEより)
- リスクを軽減する方法
My Clippings.txtファイルをアップロードするオフライン方式を使う- オンライン同期を使う場合は、同期後に毎回ログアウトする
本記事で紹介した方法により生じた問題については責任を負いかねます。
ご自身の判断でご利用ください。
GitHubはこちらです。
インストール方法はObsidian の設定を開き、コミュニティプラグイン → 閲覧と進み、

Kindle Highlightsを選んでインストールするだけです。(僕はすでにインストール済みなのでインストールボタンが出ていません。)


2.2.Kindleにログインする
インストールできたら設定を開いてKindleにログインしてください。
設定周りを含めてこちらが非常に参考になりました!
2.3.(お好みで)生成されるMarkdownファイルのコンテンツを編集する
ここはお好みなのと上記の記事でもありましたが、Kindle Highlightsの設定画面で
- ファイル名
- 出力するコンテンツの内容
- ハイライトの出力内容
をカスタマイズできます。


僕はデフォルトのままだとなんか味気なかったのと、Markdown単体でも読み返すかなと思って、本の表紙などが出るようにしてみました。
(ネットで見た内容をそのままコピーさせていただいたのですが、引用元を忘れてしまいました。。。)
以下をFile Contentに貼り付けると
# {{title}}
## Metadata
{% trim %}
{% if authorUrl %}
* Author: [{{author}}]({{authorUrl}})
{% elif author %}
* Author: [[{{author}}]]
{% endif %}
{% if imageUrl %}{% endif %}
{% if author %}* [{{author}}](https://amazon.jp/s?k={{author | replace("著者: ", "")}}){% endif %}
{% if url %}* Reference: (https://amazon.jp/dp/{{asin}}){% endif %}
{% if asin %}* ASIN: {{asin}}{% endif %}
{% if isbn %}* ISBN: {{isbn}}{% endif %}
{% if pages %}* Pages: {{pages}}{% endif %}
{% if publication %}* Publication: {{publication}}{% endif %}
{% if publisher %}* Publisher: {{publisher}}{% endif %}
{% if url %}* Reference: {{url}}{% endif %}
{% if appLink %}* [Kindle link]({{appLink}}){% endif %}
{% endtrim %}
## Highlights
{{highlights}}
このような形でKindleからMarkdownファイルが作成されます。

3.Markdownファイルを加工する
先程出来上がったMarkdownファイルから
- ノイズを抜く
- 必要に応じて追記、加工などをする
ことが場合によっては必要になってくると思います。
1は単純にMarkdownの抽出が「1.逆算で考える — location: 143^ref-2162」みたいな感じで出力している場合にノイズがあるので除外したほうが良いだろうという考えです。
(不要な方は「2.3.(お好みで)生成されるMarkdownファイルのコンテンツを編集する」のところでご紹介した設定で除外しておいても良いかもしれません。)
2はハイライトを引いた箇所から、インサイトを抜き出したり、具体化/抽象化などをして肉付けし、Skillとして使いやすい情報にまとめる作業です。
Claudeなどの生成AIと一緒に作業していけば比較的簡単にできると思います。
作るSkillをどう使いたいか、どういうときにそのSkillが呼び出されてほしいか、その時に何を解決したいか、AIが主体なのか人間に気づきを与える補助をして欲しいのかなどの視点でまとめていくのが良いかもしれません。
※ただ、もしかしたらこのフェーズは不要かもしれません。今のClaude Opus4.5などの能力なら十分対応してくれそうな気もします。
4.Skillを作る
4.1.Skillの作り方
いよいよSkillを作りましょう。
今回はMarkdownを下記のように加工しました。

Skillの作成はとても簡単で上記のファイルをClaudeに添付して
「skill-creatorを使って添付をSkillに変換して」
と入力するだけです。
(skill-creatorというSkillが最初からClaudeに与えられていますので、あとはよしなにやってくれます。)

しばらくするとこんな感じで出来上がるのでこれを「自分のスキルにコピー」あるいは「ダウンロード」してClaudeCodeなどで読み込んで使用してください。

今回作成したものは著作権の関係で公開が難しいのでイメージが伝わりづらいかもしれませんが、気になった方はぜひお試しください。
4.2.作成したSkillを試す
最後に先程作成したSkillを使ってどんな感じの回答が来るのか見てみましょう。
今回は「キャリアに悩むエンジニア」として質問をしてみたいと思います。

※「thinking-methods-skillを使って」というのを入力しなくても適切にClaudeが判断して解答してくれますが、たまにSkillを使わずに回答することもあるため、確実に呼び出すために入力しました。
結果はこちらです。
# 技術者のキャリア分岐点 — 思考法を使った意思決定ガイド
> **相談内容**: 30歳を過ぎて上司から「マネジメントを考えてみないか」と言われた。技術は好きだが将来への不安もある。かといってマネージャーになって技術から離れるのも怖い。どう決めればいい?
---
## あなたの状況に合った思考法
### 1. ゴールからシナリオを描く(Method 2)
「技術 vs マネジメント」という二択で考えると行き詰まります。実際にはもっと多様なキャリアパスがあり、それぞれを**シナリオとして並べて検討する**ことで、恐怖ではなく選択肢として捉えられるようになります。
#### 具体的な行動ステップ
1. 以下の4つのシナリオを紙に書き出す
2. 各シナリオで「5年後の自分」を具体的に描写する
3. それぞれの「得るもの」と「失うリスク」を正直に書く
#### あなたのケースで考えられるシナリオ
| シナリオ | 概要 | 得るもの | リスク |
|---------|------|----------|--------|
| A. 技術特化 | スペシャリストとして深掘り | 技術力、市場価値 | マネジメント経験なし |
| B. マネジメント転向 | ピープルマネージャーへ | 組織運営力、昇進 | 技術力の陳腐化 |
| C. テックリード | 技術+少人数リード | 両方のバランス | 中途半端になるリスク |
| D. 独立/起業 | 自分で技術と経営を両立 | 自由度、全体視点 | 安定性のなさ |
---
### 2. 長期と短期を両方意識する(Method 4)
「今すぐ決めなければ」という焦りが判断を曇らせます。**短期的な実験と長期的なゴールを分けて考える**ことで、不可逆な決断を急がずに済みます。
#### 具体的な行動ステップ
1. **長期(10年後)**: どんな人間でありたいか?を書く(役職ではなく「状態」で)
2. **短期(半年)**: マネジメントを「試す」小さな実験を設計する
3. 実験結果を見てから本格的な判断をする
#### あなたのケースへの適用例
**長期の問い**
- 10年後、技術から完全に離れた自分を想像して「嫌だ」と感じるか?
- それとも「チームが成果を出すのを見る喜び」の方が大きそうか?
**短期の実験**
- 今のチームで1人のメンタリングを3ヶ月やってみる
- 社内勉強会のファシリテーターを引き受けてみる
- 採用面接に同席させてもらう
→ これらを「試してみて」から決めても遅くない
---
### 3. 直感を言語化して検証する(Method 35)
「技術は好きだけど」「マネージャーになるのも怖い」という**感情の正体**を言葉にすると、本当の懸念が見えてきます。
#### 具体的な行動ステップ
1. 「技術から離れるのが怖い」の「怖い」を3つの具体的な不安に分解する
2. 「このままで大丈夫か不安」の「大丈夫」が何を指すのか定義する
3. それぞれの不安に対して「本当にそうなるか?」を検証する
#### あなたのケースへの適用例
| 直感 | 言語化すると? | 検証 |
|------|---------------|------|
| 技術から離れるのが怖い | スキルが陳腐化する? / コードを書く楽しさを失う? | マネージャーでも技術に触れる人は多い |
| このままで大丈夫か不安 | 年収? / 市場価値? / やりがい? | 35歳以降のエンジニア市場を調べる |
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## 今週できること
1. **紙に4つのシナリオを書き出す**(30分)
2. **上司に「試しにマネジメント的なことを一部やらせてください」と相談する** — 全面移行ではなく実験として
3. **同年代でマネージャーになった人・ならなかった人の両方に話を聞く**
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## 最後に
「30歳を過ぎて」という言葉がありましたが、**キャリアの分岐点は一度きりではありません**。
- マネジメントを試して「やっぱり技術に戻りたい」と思ったら戻る人も多い
- 逆に技術を続けてから40代でマネジメントに移る人もいる
「不可逆な選択」ではなく「まず試してみる実験」として捉えると、決断のハードルはぐっと下がります。
---
*使用した思考法: Method 2(ゴールからシナリオを描く)、Method 4(長期と短期を両方意識する)、Method 35(直感を言語化して検証する)*
ちなみにSkillを使わないとこんな感じです。(SkillとメモリーをOFFにして回答を生成)
# 30代エンジニアのキャリア選択:IC vs マネージャー
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## よくある誤解を解いておく
**「IC(専門職)か、マネージャーか」は二者択一ではない**
- 多くの企業でIC専門のキャリアラダー(Staff Engineer → Principal → Distinguished)が整備されつつある
- マネージャーになっても「技術から完全に離れる」わけではない(特に日本では兼任も多い)
- 一度選んでも戻れる。キャリアは一方通行ではない
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## 判断のための3つの軸
### 1. 「何に喜びを感じるか」を正直に見る
| 傾向 | IC向き | マネージャー向き |
|------|--------|-----------------|
| 達成感 | 自分で問題を解いたとき | チームが成果を出したとき |
| ストレス源 | 会議・調整が増えると消耗 | 一人で黙々は退屈に感じる |
| 関心 | 「どう作るか」に夢中 | 「誰が・何を」に興味 |
どちらが「偉い」ではなく、**どちらで充電されるか**。
### 2. 「不安の正体」を分解する
あなたの不安は2つ混ざっています:
- **IC継続の不安**:「市場価値が下がるのでは」「年齢で切られるのでは」
- **マネージャー転向の不安**:「技術力が錆びるのでは」「向いてなかったら戻れないのでは」
それぞれ検証可能です:
- IC継続 → 40代・50代で活躍しているICは実際にいるか? 自分の技術領域の需要は?
- マネージャー → 社内で「技術に戻った人」はいるか? 最初からフルコミットでなく試せるか?
### 3. 「今の環境」で試せるか確認する
いきなり決断せず、**小さく試す**のが現実的です:
- テックリード的な役割を一部担ってみる
- 1on1やメンタリングを少しやってみる
- 採用面接に参加してみる
「やってみたら意外と楽しい/辛い」は、考えるより体感したほうが早い。
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## 具体的な次のステップ
1. **上司に「試用期間」を提案する**
- 「3ヶ月だけ小さいチームのリードをやらせてください。その上で判断したい」
2. **社内外のロールモデルを探す**
- 40代でICを続けている人、マネージャーから戻った人に話を聞く
3. **「技術を続ける」の定義を明確にする**
- 毎日コードを書きたいのか、技術的意思決定に関わりたいのか、学び続けたいのか
---
## 最後に
「このまま大丈夫か」という不安は、**選択肢のどちらを選んでも消えません**。
大事なのは「正解を選ぶ」ことではなく、「選んだ後に正解にする」こと。
今の時点では、**まず小さく試して、自分の反応を観察する**ことをお勧めします。頭で考えるより、体が教えてくれることのほうが多いですから。
Skillを使ったほうがより具体的なアドバイスがありますね。根拠が明示される分、納得感もあるのではないでしょうか。
今回はKindleからClaudeのSkillを作成する方法をご紹介しました。
この方法は他の本でも応用できると思いますので、いい感じのSkillができたらまたブログで共有します。
それでは、よい読書&AIライフを!
